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1967年生まれ、兵庫県出身。アートユニット「明和電機」の代表取締役社長。国内外での展覧会やライブパフォーマンスのみならず、CDやビデオ制作、本の執筆など活動は多岐にわたる。最近では今夏ロードショーの映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」に出演したほか、谷川俊太郎と共同制作した絵本『すーびょーるーみゅー』が単行本化された。
詳しくはhttp://www.maywadenki.com/を参照。
『岡山市デジタルミュージアム』で展覧会(『タウン情報おかやま』8月号P223参照)を開催するアート・ユニット「明和電機」。展示を間近に控えた、社長・土佐信道に話を聞いた。


―――まず、今回展示される作品(製品)は何点ぐらいあるのですか?

細かいのを入れると、200点近くあると思います。


―――動くものが多いようですが、実際に触ることはできるのですか?

お試しで楽器を触っていただくコーナーがありますね。動くものは僕らがいないときに自動演奏を行うようにしています。


―――さまざまな作品(製品)が並ぶそうですが、中でも見どころというのは?

そうですね…。ま、全部見どころ(笑)。アレですよ、5人兄弟の親みたいなもんですよ。えこひいきできない、みたいな(笑)。


―――な、なるほど(笑)。では、「魚器(NAKI)」や「ツクバ(TSUKUBA)」などいろいろなシリーズがあると思うのですが、それらの誕生のきっかけは?

 まず、「魚器(NAKI)」シリーズのテーマは、「自分とは何か」。この大変な問題を考え始めてしまったんですよ。それでスランプになったとき、自分を何かに置き換えてみようと。そうしたら、「魚」というのがひらめいたんです。僕は定期的に魚の悪夢を見るんですね。だから、僕の深層心理にあるその得体の知れないものを捕まえたいというのがありました。自分自身を魚に置き換えると、すごく例えやすかったというのもありますね。


―――もしかしたら、前世が魚だったとか?

それは絶対ないと思います。魚、すごく苦手ですから。気持ち悪くて。


―――実は嫌いなんですね…(笑)。では、電動の楽器「ツクバ(TSUKUBA)」シリーズは?

 元々、小さい頃から楽器が大好きだったんです。兄がいるんですけど、兄と2人でバンドを組んだりしてましたね。特にシンセサイザーとか電気で動く機械に興味があって。ところが、いわゆるデジタルミュージックがコンピュータミュージックになり始めた頃ぐらいから、「あれ?おもしろくないぞ」と思い始めたんです。なんか「音楽の情報」を扱うようになってきたなと。音楽を切って、つなげて、サンプリングしてっていう…。元々、それも好きだったんですけど、その小手先な感じが「男気」がないなと。楽器の魅力って、音がそこから出てくるとか、機械が持ってるダイナミックな感じだと思ったんです。で、電気で動く楽器を作り始めました。アコースティックかつメカニックじゃないとだめなんです。両方くっつかないと。


―――アナログなチャンネルやダイヤルを取り入れた「アルクラッシィシリーズ」は?

テクノロジーの進み方に対するアンチテーゼでもあるんですけど。例えば、今こういうダイヤルってなくなっちゃったんですね。「ガチャコン」のチャンネルっていうのもなくなっちゃいましたし。全部ボタンになってしまって。安く作れるんで、それはいいんですけど。こういう味わい深いダイヤルとかチャンネルとかがなくなるのはどうかと思いまして。ということで、これらは計器類を復活させる、計器回復グッズです。


―――それらの自称「役に立たない機械」(?)を、なぜ作ろうと思ったのですか?

 役に立つ物は誰かが作ってるわけですよ。で、予想もできるんですね。だから、それを僕が作る必要はないなと。むしろ、もっと見たことのないもの、ナンセンスなものを作ることにひかれたんです。


―――今回は展示だけではなく、イベントもあるんですね。

 ま、いわゆる客寄せというやつです(笑)。展示しているものは、すべて道具や機械だから、人が動かさないとおもしろくないんです。だから、僕が使ってデモンストレーションした方がおもしろい(笑)。


―――確かに社長自らが参加されるイベントも多いですね。

ま、いわゆる出たがりですね。作品より目立ちたい(笑)。僕が一番の「ナンセンス=マシーン」…。


―――なるほど(笑)。ちなみに、TJ読者におすすめのイベントは?

ま、いわゆる5人兄弟の親みたいなもんなんで…(笑)。ま、ミニライブかな。


―――ミニライブには社長も参加を?

もちろん一番前に出ます。カラオケショーですから。


―――歌うんですか?

 歌うんですよ、これが。むちゃくちゃ歌うんです。ちなみに全部オリジナル曲です。しかも作詞作曲の前に楽器を作りますから。シンガーソングライターメーカーです。全部やります。誰にもやらせない。誰も付いてこない、みたいな…。あと、今着ている作業服のコスプレコーナーもあります。女性や子ども用もありますよ。


―――盛りだくさんの内容ですね。展覧会の準備は大変そうですが、その様子などを書いたブログもされてますよね。展覧会準備の忙しさを数式で表すと、「会場設計+イベント準備+プロモーション+(作品修理・メンテナンス)×作品数=死」だとか?

それが文明の縮図ですね(笑)。機械に頼ると、ろくなことがないってことですね。パソコン壊れて、メンテナンスで大変で、みたいな。皿回しみたいなもんです。こっち回して、あっち回して、全部回さなきゃいけない。自業自得ってやつです。


―――本当に大変な感じがひしひしと伝わってきました…(笑)。ちなみに、岡山での大規模な展覧会は今回が初めてですよね。岡山に関するエピソードは何かありますか?

岡山ですか。カキオコ(カキ入りお好み焼)はこの前食べに行きましたよ。僕は育ちが赤穂なんで。日生とか閑谷学校とか行ってましたし。元々親父の会社だった明和電機は、赤穂市にありましたから。実家は広島なので、岡山はど真ん中ですね。オセロでいうと、ひっくり返るっていう。


―――ちょうど真ん中だったんですね、岡山は。

ぽっこり抜けていたので、想像がつかなくて。この前、岡山の若者に「岡山県民はどこで遊ぶの?」って聞いたら「神戸です」って言われて。そこまで行くのか、広島じゃないのかと。「広島にはライバル意識があるんです」と言ってました。


―――ほかには?

僕が小学生の頃に、岡山県から通ってる友だちがいたんです。ちょっとバカボンのパパに似ている友だちだったんですけど。その友だちが飼ってた小鳥が、あるとき車にひかれたんですよ。で、怒った友だちは執拗に車を探して見つけて、その車のマフラーに砂をぎゅうぎゅうに詰め込んだんですね。執念深いですね。その彼の家に行ったら、お父さんとお母さんがすごく美男美女だったんですよ。子どもはバカボンのパパ似なのに(笑)。だから、岡山県民は美男美女なのかな?っていう印象です。執念深く、美男美女なのかと。


―――なるほど、それは強烈な印象ですね…(笑)。それでは、最後にTJ読者にメッセージをお願いします。

「機械に囲まれて暮らしている」というのは、皆さん一緒だと思うんですね。お尻を洗う機械とか、耳の中にひたすら音楽を詰めこむ機械とか、常識と思っている機械も、ちょっと引いて考えると、ナンセンスな機械が多いんですよ。「明和電機」の機械もナンセンスですけれど、それに慣れていただければ、身近な機械に対する考えも変わるんじゃないかなと思ってます。どっちがおかしいかってことですね。

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