サンボマスターといえば、もはや夏フェスの常連。
音楽雑誌の間でも引っ張りだこになっていたり、
テレビドラマの主題歌なんかも歌っちゃったり…。
ロックンロールをやってるアーティストが
世間を騒がしていることに、
私はちょっと勇気を分けてもらいながら、この日を待っていた。
そして、6月11日。
「サンボマスターがペパーでやる」と聞いたとき、
「やっとこのときが来た!」って。
これは、事件の予感!!
だって、ペパーは全国的にも狭くて有名なハコ。
サンボマスターのスケールが、
ここでどう機能するんだろう?
そう考えて、ワクワクしながら会場へ向かった。
当日ペパーは、大入り満員。
会場の期待が沸点に達したそのとき、
サンボマスターが姿を見せた!
『あの鐘を鳴らすのはあなた』が唐突に始まったかと思いきや、
『二人ぽっちの世界』で「優しい」山口の声が鳴り響く…。
え、「優しい」って?
そう、「優しい」んです。
「怒」とか「叫」とか「汗」とか、
そんな漢字のイメージがつきまとうかもしれないけれど、
サンボマスターのこの日の印象は
「優」とか「温」とか「笑」だった。
だって、どうでもいい人の前であんなふうに歌える?
なんておもったら、本当にたっぷりの「愛」だ。
特にこの日は「サンボ史上一番の女子率の高さ」を
記録したせいもあるのかもしれないけど…(笑)。
なんて書いてはいるが、
「岡山こんなもんじゃねぇだろ」「体が動かなきゃ、うそだ」
と、もちろん山口は怒鳴る! あおる!
それを目を潤ませながら真正面で見つめる推定34歳男性、
山口のあおりに、ここぞとばかりにのってくる推定19歳男子、
立ち上がっちゃいけないってのに、すっかり踊りまくってる2階席女子多数。
次第に、サンボマスターと「分かち合い」始めている岡山勢。
「ここの200人でロックを変えよう」とは、
5曲目『歌声よおこれ』前のMCの言葉。
こんな言葉、外にいる誰かが聞いたら、苦笑するかもしれない。
だけど、山口が「あなたがた」と連呼していたように、
「私とあなた」から始まって「サンボと客200人」の関係が成り立つわけだし、
「サンボと客200人」から始まって「世界」が変わるんだと思う。
現実、そんな簡単にはいかないかもしれないけど、
シンプルで重要な方程式を再確認させられる。
7曲目の『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』では、
撮影のために覗くカメラのファインダーの向こうに、
本当に「愛の縮図」を見た気がした。
って、うわっ、クサい…。
いや、でも本当にあの時は、
そんな言葉がピンときたから。
ライブ終盤で印象に残った「何か変わった気がしねえか」ってひと言。
もう、あなたの顔がいい具合にくしゃくしゃですもん。
木内さんの表情が意外なほどに晴れやかになってますもん。
黙々と弾いてた近藤さんは、なんかやたら渋くかっこよくなってるし、
いい加減ペパーの湿度も上がり過ぎ!
そして、何が変わったって、いつの間にか、
みんながサンボと寄り添ってるように見えてきたんだ、これが。
分かち合っちゃった「同士」みたいな感じ。
本当はライブ前、サンボのことが少し遠い存在に思えてたような気も。
だけど、県外じゃなくとも、野外じゃなくとも、
たった200人ぽっきりのこのペパーで、
限りなくオーディエンスに近い場所で、
「愛」を語りかけてくれたサンボマスター。
アンコールも2回目のアンコールも、
もう会場中に笑顔が絶えなかった。
いい歳した男たちが、あまりにもピースフルな空間を作り出してるもんで
ちょっと、ひいたくらい!
そういえば、ライブの前、
ポラの撮影をさせてもらったときに山口さんが私にこう言った。
「愛想のある顔できなくてすみませんねぇ」。
いやぁ、そんな人間味あふれる顔に、歌に、
愛を感じない人はいないでしょ。
御三人様、心から、ありがとう。
(スタッフ・白川久美)