関西を中心に活躍するインストバンド・ザッハトルテとフォトフォトグラファー・山本シエンによる写真展ツアー「ma-Cafe-rri(マカフェリ)」。岡山初となる彼らのライブが、岡山市問屋町にある人気カフェ『cafe.the market mai mai』で開催された。しかも今回は同じく関西をホームグラウンドとするアイリッシュ・インストバンド、MIMEも登場! これが本当によかった!というわけで、読んでください!
19時開場。『mai mai』に並べられたイスに続々とお客さんが座っていく。その周りの壁やテーブルには、山本シエンさんが撮影した写真の数々が展示されている。1点1点のサイズはそんなに大きくはないけれど、ザッハトルテのメンバーや、野原に咲く赤や黄色の花など、雰囲気のある鮮やかな写真がたくさん飾られ、シンプルな店内がとても明るく見えた。
19時半。店内がふっと暗くなり、大型スクリーンに映像が! 山本さんの写真をつなげたフィルムだ。おしゃれな音楽をバックに、メンバーが楽しそうに演奏している写真を見ていると、ライブがさらに楽しみになった。
パッとライトが付き、登場したのはMINEのメンバー。フルート、ギター、フィドル(バイオリン)、ウッドベースで奏でられる音楽は、伝統的なアイリッシュミュージックをいっそうノリよく刺激的にした感じ。彼らが現在のバンドを結成をする前、個々がアイリッシュ以外の音楽ジャンルで演奏していたという背景もあってか、曲も私たちがイメージする「アイリッシュ」よりも自由でとても聴きやすく、勢いがあった。そしてそれを聴いているうちに、いつの間にかすっと彼らの世界に引っ張り込まれるのだ。
一曲ごとに肌に伝わってくるフルートの微妙な息づかいやウッドベースの音の響き。それらが懐かしさを感じさせてくれたり、新しさや楽しさを感じさせてくれたり。スローなテンポから一気にリズミカルでスリリングな演奏になったり、その逆だったりと、本当に演奏が終わるまで目が離せなかった。それに、音が柔らかくてとっても心地いいんです。『High Reel』『The Duo』『Deep Breath』など次々と曲が進むにつれ、会場のお客さんも「楽しい!」っていう表情に。手拍子、ワッという大きな歓声、そして拍手の嵐。約30分という短い演奏時間だったけどとても刺激的で、癒しを感じられる時間だった。
そして、いよいよお待ちかねのザッハトルテ。スーツ姿にベレー帽、七三分け、パーマヘア。不思議な雰囲気&エネルギーいっぱいのザッハトルテは、アコーディオンの都丸智栄、ギターのウエッコ、チェロのヨース毛の3人組。京都をベースに活動をしているのだけど、ウエッコさんは岡山出身。高校時代にストリート・ライブをやり、地元誌で大きく採りあげられたことも! この日は友だちもたくさん来ていたらしい。和やかな雰囲気で登場した彼らだが、いざ演奏となるとまた全然雰囲気が違った。
「ザッハトルテが音を奏でれば、そこはもうパリのカフェ、アイルランドのパブ、ジプシーのキャンプ、あるいは日本のどこかの喫茶店…」
店内に響きわたる彼らのサウンドを聴いていると、そんなコピーを思い出した。柔らかくてとても馴染みやすいサウンドなんだけど、ぐっと聴く人の心に訴えかける力強さがあるというか。3人しかいないのだけど、本当に3人?と思うほどいろいろな音が重なって迫って来る感じ。ほんのり薄暗いせいか、音がすごくクリアだった。
都丸さんが放つアコーディオンの音色に続き、ギターやチェロの繊細な音色が重なって、曲が一気に盛りあがったり、お客さんをノらせたり。懐かしくて、おしゃれで、甘くて、でも鋭い。一曲ごとにストーリーを感じさせてくれる、そんな音楽だった。
あとひとつ、注目すべきはウエッコさんのマイペースで独特のトーク。岡山ネタに都丸さんやヨース毛さんのトークがはずみ、会場の雰囲気も和やかに。そして驚いたのが、手品! なんとウエッコさんは手品が得意だそうでライブでよく披露するとのこと。まさか『mai mai』で、ハトが出てくるなんて想像していなかったけど(笑)。
そして、再び演奏へ。
テクニックのみでは語れない、温かみのあるステージングに最後までゆったりまったり。ゆらゆら体をゆらしたり、手をたたいたり、聴き入ったり。とにかく一曲一曲が記憶に焼き付くように際立っていたのが印象的だった。『あの空に虹を…』『蛇使いとお姫様』など艶っぽいジャズのような曲、ドラマティックで華やかなと曲、目覚めに聴きたい曲、夜のドライブに聴きたい曲と、演奏ごとにシーンを想像。妄想は留まるところを知りませんでした。
そして、なんとアンコールは、(期待はしていたけど)MINEとザッハトルテの共演! 会場のテンションもマックスへ。アイリッシュメドレーをたっぷりと披露してくれた。そして、待っていました! ヨース毛さんの名シーン(?)カツラを投げ飛ばす瞬間が! 金髪の超カールのパーマを怪しいとにらんでいた人は数知れず。これもライブでよくある光景としてウワサだっただけに、見れてよかったよかった。
と、そんなこんなで、終焉を迎えた今回のライブ。
音が鳴り終わっても、曲がふわふわ頭の中で反すうする、そんなライブでした。
今回登場したザッハトルテは、「食事会+演奏会」というようなスタイルのライブを多々開催しているのとのこと。「構えられると緊張するんです。おいしいごはんと一緒に気軽に楽しんでほしい」との思いからスタートしたのだとか。しかもPAに頼らず、生音で演奏することも多いらしい。
今度岡山に来るときは、そんな彼ららしいスタイルでぜひライブをしてほしいなあと思いました。
もちろん、MINEさんも山本シエンさんの写真展も再び岡山でぜひ。
(スタッフ・山本恵里)