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岡山田広野的一日 PROFILE/ナンバーガール解散後、向井秀徳の呼びかけでアヒト・イナザワとともにスタートしたバンド。メンバーは向井秀徳(Vo&G)、アヒト・イナザワ(Dr)、日向秀和(B)、吉兼聡(G)。04年1月に1stアルバム『Zazen Boys』、その8カ月後の9月1日に、2stアルバム『Zazen Boys 2』をリリースした。http://www.mukaishutoku.com/
ZAZEN BOYS アルバム『Zazen Boys II』をリリースし、全35カ所のツアー「MATSURI SESSION」を敢行したZAZEN BOYS。岡山ライブは9月25日(土)、前回のツアー同様ペパーランドにて行われ、すべてのオーディエンスを衝撃の渦に巻き込んだ。その興奮と緊張の一部始終を、スタッフがレポート。より鋭く、より強烈に進化しつつある「今」のZAZEN BOYSを、目に耳に焼き付けてほしい。
ZAZEN BOYS、向井秀徳からの動画コメントあり→ 動画
 
 開演前。これからZAZEN BOYSのライブが始まるにして は、えらくヌルい音楽が流れていた。が、客電が落ちると同時にTELEVISIONの『MARQUEE MOON』が流れ、バン ドの登場!この曲って、(向井氏がよく使う)「アーバン」な空気や、黒人には絶対出せないであろう曲がりくねった不思議なグルーヴが、彼らの生み出す音楽に似 通ったところがある。登場曲としてはあまりにジャストなものだったので、演奏前から背中がゾクゾクしてきた。

 フロアは、「R・O・C・Kでオマエを扇情」の言葉に、ものの見事に扇情され、初っ端からものすごいうねりを起こしていた。いい歳こいた男女が大勢で、「酔っぱらい〜」とか、「ワンカップ〜」って大合唱しとんじゃで!しかもほんっと気持ちよさそうに。こんな光景、ZA ZENBOYSのライブ以外じゃ絶対見られない。

 『CRAZY DAYS CRAZY FEELING』、『USODARAKE』と曲が続く。向井氏の眼ヂカラとバンドのグルーヴに呑みこまれそうになりながらも踏ん張って楽しんでいるように見えたオーディエンスが、『黒い下着』が始まる前のMC「真夏の ド真中。かわいくもないし、かといって不美人でもない。ま、大半の女子の…ブラックアンダーウェアを無理やり引っぱがす!」に続く演奏で一気に呑みこまれていった。その後は『SEKARASIKA』『6本の狂ったハガネの振動』、本編ラストの『自問自答』と、誰もが心の奥底に潜ませているであろう「平穏無事」への志向をグラグラと揺さぶられるナンバーの連続。オーディエンスは熱狂と静寂 (曲と曲との間にフロアがまったくの無音状態になることが何度もあった。こんなことは今まで経験したことがなく、本当に驚きだった)の波に翻弄され続けたのだ。
 こんなにも熱く、激しく、そして何よりも狂っているZAZEN BOYSの音楽ってなんなんだろうか?冒頭に挙げた『MARQUEE MOON』の中にこんな詞が出てくる。

  道端の男に尋ねた
  なぜ正気でいられるのかと
  彼はこう言った
  「いいかねお若いの
  幸せになり過ぎてはいかん
  それに何があろうと
  あまり悲しみ過ぎんことだ」

 質問した方はもちろん、こんな達観した言葉に納得するはずもない。そう、ぼくら(勝手に複数形にさせてもらうが)は、些細なことで幸せになり過ぎてしまうし、同時につまらないことで悲しみ過ぎてしまう。向井氏のコトバを借りれば、「毎日毎日狂って不思議」って状態だ。でも、世にはびこっている「癒し」に身を委ねたり、胡散臭いやつがファッションのように提示した思想にすがって生きてみたりすることだけは絶対に拒みたい。そんなぼくらの日常を、「脳みそこんがらがってる」とか、「血中を流れるフラストレーション」といったコトバで見事に表し、そして、こんなことを投げつけてくる。とんでもなく豊かで、独特なグルーヴに乗せて。

 「アタマどんだけ狂っても生の実感だけは持っとこう」

 こういう音楽をソウルとかパンクって言うんじゃなかったっけ?本物の。

 アンコール後、見たことのないものを見た子どものような表情で、すごく満足した目をしてペパーランドをあとにする人たち。彼らを見て、本気でそう思った。

文・薬師寺 弘忠