伊坂幸太郎作品、またしても映画化。ここまでくると、この人の作品の場合、映画になることが前提ともいえるので、映画化というのも違和感を覚えるくらいですね。
要するに、「待ってました!」なわけです。オリジナル作品に渇望している私としては、ちょっと別格なのですよ。
伊坂作品の場合、どうしてもラストの「そういうことね!」の謎解きを期待してしまいますが、今回も期待を裏切りません。
全編は、逃亡劇のスリルを思う存分楽しませてくれて、最後の15分で、ゆるやかにさりげなく、でもカチッカチッと確かに、からくりがハマッていく気持ちよさを堪能させてくれます。これぞ井坂作品の醍醐味。
細かいところを突っ込もうと思えば、いくらでも突っ込めるのですが、そんなことを軽々と飛び越えてくれるところは、三谷幸喜作品に似てるかも。
ライトなタッチで描かれている人間ドラマの部分を中村義洋監督が、絶妙なくすぐりですくいとってるんです。ナイス・コンビネーションですね、今回も。
逃げる主人公に堺雅人。この人の滲み出る「人のよさ」と一瞬の鋭さが、本作の役にハマッてます。彼を「逃がそうとする」登場人物たちの行動に違和感を感じないのは、この主人公の描き方がブレてないからではないかと。
そして、音楽。実に、なんていうか…斉藤和義でした。ビートが斉藤和義なんですよねー。エンディングで流れる「憂鬱な朝食、退屈な夕食」は、本作のために書かれたものではない。なのに、めちゃリンクするんです。
「それじゃあよろしく、そのうちまたね」で、カチッ。
「責任者、出てこい!」で、カチッ。
さり気なく、ものすごい仕事です。
鑑賞後の爽快感は、文句なしですよ。