ひと足お先に、業務試写で観てきました。
妻夫木聡の、役の作りこみに脱帽。
土木作業員で楽しみはクルマを走らせることだけ。女性との接点は、出会い系サイトオンリー。
その風貌が、「いる!こういう人!」というリアリティ!
それはルックスのみならず、死にきった目や、しまりのない表情。造りは変らず美しい顔なのに、「あの妻夫木くん」の面影がまったく消えている。
それだけでも、この映画を観る価値はあるかと思います。
妻夫木には及ばないまでも、相手役の深津絵里の「さびしいオンナ」っぷりも迫るものがあります。「ちょっと老けたなぁ」と思わせる見た目が、この役にハマッている。
とにかく2人の「孤独」の描き方が容赦ない。特に悲惨なエピソードやシーンがあるわけではないのに、お互いに「この人しかいない」という祈りにも似た確信がスクリーン全体を覆っている。
それよりなにより、妻夫木聡の祖母を演じた樹木希林が登場するすべてのシーンは反則です。あれで泣かない人、いるんでしょうか?
劇中、樹木希林は涙を見せない。でも、バスの運転手が声をかけたときに映る彼女の後ろ姿。あのとき、彼女は泣いていた、と私は思う(映画を観ないと分からないので、ぜひ観てください)。
そして! 大注目の満島ひかり! 今回も名演でした!! 言うことアリマセン!!
この映画、隅から隅まで役者の演技に抜かりがない。
ということは、李相日監督の演出が素晴らしかったということ。
その李相日監督に、あいがインタビューする予定です。
お楽しみにー!
今年の春先、この映画の企画を聞いた段階から期待していた、この作品、先週観て、期待以上の出来に感動し、昨日原作を読み終えました。原作を読んで驚かされたのは、登場人物の人間性を表すようなエピソードが、かなりの部分削られていることです。それでいて、映画においては、それぞれの人間性が見事に描かれている。李監督の力量をまざまざと見せつけられました。また出演者の見事なまでな演技。本来あるべき筋肉まで削ぎおとし、別人のような妻夫木。そして、モントリオールでの主演女優賞に恥じない、深津絵里。この二人はもとより、脇を固めるそれぞれの役者が、己の出せる全てのものを出しきっているような作品になってます。ちょっとしたことで、被害者にも加害者にもなってしまう今の時代、人はどうあるべきなのか。その一つの答えを貰えたような気がします。一番印象に残ったシーンは、被害者の父親役の柄本明が、鬱積した思いを抱えたまま、自宅の散髪屋さんに帰った時、店の掃除をしながら、切に彼の帰りを待つ、妻役の宮崎美子。本当に地味なシーンですが、印象深かったです。本当に素敵な作品で、多分今年の邦画はこれで決まりかなと思います。